小豆と餡の歳時記・春から秋

小豆と餡の歳時記・春から秋

季節にそった暮らしをすると、心豊かに生きていけます。
何気ない日々も、季節ごとに小豆を使った和菓子などを頂くことで、暮らしのアクセントになります。
「厄除け、厄除け」と感謝して甘いものを頂き、四季折々の歳時記を楽しみましょう。

■春のぼたもちと秋のおはぎ

春のお彼岸はちょうど牡丹の花が咲くことから「ぼたもち」と言い、秋のお彼岸の頃には萩の花が咲くので「おはぎ」と言います。
お彼岸にぼたもちやおはぎを食べるようになったのは、江戸時代の頃からのようです。
邪気を払う食べ物として、「災難がふりかかりませんように」との願いを込めて先祖にお供えしたのが始まりと言われています。

5月5日の子どもの日は端午の節句とも言い、昔から男の子の節句として菖蒲を飾って柏餅を食べる風習がありました。
柏の葉は新芽が出てから古い葉が落ちるので、「家系が絶えないで続く」と尊ばれ、縁起が良い小豆あんを入れた餅を柏の葉で包んで食べてきました。

■夏の水無月と土用餅

「水無月」は白い三角形のういろうの上に、甘く煮た小豆をあしらった和菓子です。
6月の30日に食べて半年間のけがれを払い後の半年の無病息災を願う和菓子として、関西では知られています。
神社では「夏越しの茅の輪くぐり」などの厄除け神事がおこなわれます。

土用は四季それぞれにありますが、特に夏の土用の入りには、餅をあんこで包んだ「あんころ餅」を食べる風習が多く見られます。
餅は元気のみなもと、あんこは厄除けといった意味合いから7月20日頃から8月7日頃までの土用の間は和菓子屋さんに土用餅が並びます。

■秋のお月見団子と亥の子餅

秋はお月見の季節です。
月見の習慣は平安時代から始まったと言われますが、お月見団子のバリエーションも色々です。
上新粉や白玉で作る真っ白のお団子から、やや細長のお団子にこし餡が巻いてあるものもあります。
このあんこは月にかかった雲を表現しているとも、里芋を表現しているとも言われます。
その他にもお団子の中に小豆のこし餡や黄身餡が入ったものもあります。
所変われば品変わると言いますが、様々なお月見団子があるようです。

亥の子餅は、うりぼうと呼ばれる猪の赤ちゃんをイメージした和菓子です。
茶の湯では炉開きの茶菓子として用いられます。
亥の子餅は昔は米、小豆、大豆、ささげ、ごま、栗、柿、水あめを混ぜて作ったそうですが、現代ではぎゅうひなどに粒餡を包んだものが多いようです。
猪は多産なことと、小豆の厄除けから亥の子餅はおめでたい和菓子として食されています。

季節の変わり目にほっこりとした体に優しいあんこの和菓子を頂くと、元気が湧いてきます。
昔から季節ごとに色々な方法で小豆は食べられてきました。
四季のある日本ならではの歳時記にそった和菓子を味わい、身も心も癒されましょう。