和菓子屋で人気の季節メニュー~冬~

お祝い事やお目出たい季節にも古くから和菓子は重宝されてきました。夏の暑い時期に水羊羹や葛饅頭などが好まれるのと同じように、寒い季節だからこそ好まれる和菓子メニューもたくさんあります。ここではその中から特に人気の冬メニューや、冬ならではのメニューの考え方をいくつかご紹介していきます。

1)和菓子屋で人気の冬メニュー3選

1 花びら餅

花びら餅

お正月に食べられる和菓子に花びら餅があります。白とピンクの柔らかい求肥に甘く煮た牛蒡と白味噌あんが包まれた、見た目も味も上品なお菓子です。平安時代にお節料理として食べられていたと言われる、まさに伝統菓子。これを食べて新年を迎えたと感じる人も多いのではないでしょうか。新年のお茶席などでも多く使われています。

2 紅白饅頭

紅白饅頭

これもお正月にはよく売れる和菓子の一つです。ピンクと白の対になった饅頭は日本のお目出たい行事には必ずと言っていいほど登場しますね。紅白饅頭と一言で言ってもさまざまな種類があります。大きなものから生菓子サイズの小さなものまであり、焼き印が押してあるものや金粉をあしらったものなどお店によって違いが出てきます。

3 軽かん

軽かん

淡雪かんとも呼ばれます。元々は鹿児島など九州で食べられていたお菓子で、かるかん粉と呼ばれる米粉、砂糖、山芋などを混ぜて蒸したお菓子になります。季節関係なく作れるお菓子ですが、雪のような見た目から冬らしさを出すことができるため特に寒い時期には目立ちます。羊羹と2層にして食感を楽しめるようにしたものも人気です。

2)和菓子屋で人気の冬メニュー 番外編

和菓子と言うよりも和スイーツに分類されるかもしれませんが、上記の3種類と同じくらい人気があり定番化するのが“お汁粉”です。
冬の寒い時期にはやはり温かく食べられるものはよく出ます。
粉末状になっている即席汁粉や、あん入り最中にお湯を注いですぐできる懐中汁粉などは買っていかれるお客様が非常に多いです。日持ちもするため贈り物用に買っていかれるお客様もいます。
自社製品とは異なるかもしれませんが、手軽に手づくりできるスイーツとしてレジ横に置いておくにはおすすめの商品ですよ。

3)冬の花や食材からメニューを考える

雪の中で咲く福寿草

1 福寿草

冬の花に“福寿草”という花があります。その名前から縁起物に使われたり、幸福という意味を持つため新年の和菓子のモチーフとしても使われることがあります。黄色の小ぶりな花を表現した黄身しぐれや練り切りは寒い時期の和菓子にはぴったりです。

2 柚子

冬と聞いて思い浮かべる日本の果物には柚子がありますね。白あんに柚子の果汁を混ぜて柚子あんにすれば上品で爽やかな酸味のある一味違った和菓子になります。柚子饅頭や柚子餅、練り切りなどの生菓子にも使えますね。

3 黒豆

黒豆は“丈夫”“健康”“まめに働く”という意味合いでおせちに使われるため、新年や冬を連想させます。黒豆羊羹、かのこ、大福などバリエーションも多種多様です。琥珀色の寒天で寄せて高級感やお正月の雰囲気を出すのもおすすめですよ。

4 寒椿

椿も寒い時期に咲く花の代表格です。上品で落ち着いた色やデザインは一際目立ち、日本の冬を感じさせます。練り切りで型取るのもいいですし、白の上用饅頭に食紅で描いても綺麗です。

花や食材とは異なりますが、雪うさぎや氷の結晶などの和菓子のモチーフとして使えます。どんなものが冬を連想させるかを考えると季節メニューづくりがスムーズに進みます。

4)冬のイベントで人気の和菓子メニュー

クリスマスや雪だるまがモチーフの和菓子

冬のイベントと言えばクリスマスやバレンタインですよね。和菓子屋にはあまり関係ないように思えますが、最近ではそういったものにちなんだお菓子を企画・販売する和菓子屋も増えてきました。
練り切りでサンタの帽子やブーツを表現したり、緑色のきんとんに色とりどりのあんこを飾りつけクリスマスツリーをイメージしたり…
和菓子でも十分クリスマスを演出できます。

またバレンタインはハート形の饅頭や干菓子などでチョコレートの代用が出来ます。チョコレートが苦手な人や年配の人への贈り物には喜ばれるかもしれません。

ポップや看板を置き早い段階で宣伝しておけば、和菓子屋に馴染みのないそれらの商品も興味を持ってもらいやすくなります。
今まで続いてきた伝統を大切にするだけではなく、新しいジャンルや今行われているイベントに合った和菓子を考え販売することも大切なことではないでしょうか。

5)和菓子屋で人気の季節メニュー~冬~まとめ

和菓子の魅力はその季節の花や情景を表現できるところではないでしょうか。白くふんわりとした雪、椿や梅などの日本の花など、軽かんや求肥など昔から伝わる手法で上品に表現しましょう。

また冬のイベントを意識することも大切です。
お正月などの伝統的な行事を大切にするとともに、その時期のイベントに合わせて新しい季節メニューを取り入れてお客様の心を掴みましょう。